スティーヴン・キング「11/22/63上下」文藝春秋
- 2013/11/30
- 18:37
この本はまずケネディ元大統領がアメリカで大変慕われていたこと、その暗殺はアメリカの歴史のターニング・ポイントと見なされれていることを理解していないといけません。その前提があって初めて成立する物語なのです。私はケネディが暗殺された時、8歳でしたからその日のことは覚えています。当時、ケネディは日本でも人気がありました。彼は第2次世界大戦で魚雷艇の艇長を勤めています。僚船が撃沈された時、その乗組員を危険...
井沢元彦「英傑の日本史新選組・幕末編」角川文庫
- 2013/11/12
- 17:02
この「英傑の日本史シリーズ」では主として戦国時代の英傑を描いていました。この本は一転して幕末の英傑たちを取り上げています。最初に新選組を論じていますがあまり有名ではない隊士も登場します。筆者は新選組に思い入れがあるのでしょうか。確かに新選組は絵になりますね。揃いの制服は今見ても美的センスが感じられます。また隊士たちの多くが非業の最期を遂げているのも日本人の美意識をくすぐるのでしょう。ただ近藤勇にし...
椎名誠「極北の狩人」講談社文庫
- 2013/11/05
- 15:26
私はあまり人の行かない秘境や辺境の旅行記が好きです。こういう手記を書かせたら抜群にうまかったのが開高健でした。彼は戦後の小説家の中でもベスト3に入る名文家でしょう。椎名誠を名文家と呼ぶのはちょっと苦しいですね。ただ独特のひょうひょうとした文体は従来の小説家とは一味違っていてユニークです。彼には類まれな体力と行動力があります。それを武器にして世界の果てを旅しています。また大のビール党でもあります。こ...